ウェーバー(1786-1826)
歌劇「魔弾の射手」全曲
オットカール: ヘルマン・プライ
クーノー: エルンスト・ヴィーマン
アガーテ: エリザベート・グリュンマー
エンヘェン: リーザ・オットー
カスパール: カール・クリスティアン・コーン
マックス: ルドルフ・ショック
隠者: ゴットロープ・フリック
キリアン: ヴィルヘルム・ワルター・ディックス
ザミエル: フリッツ・ホッペ
ベルリン市立歌劇場合唱団
合唱指揮: ヘルマン・リュデッケ
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮: ヨーゼフ・カイルベルト
録音: 1958年
(65:50/68:59)
今夜はウェーバーの「魔弾の射手」です。
39歳という若さでロンドンで客死したウェーバーの作品の中でもっとも後世に影響を与えた作品こそ「魔弾の射手」でしょう。ドイツのロマン派オペラの潮流を生み出し、国内でのワーグナーにとどまらず、フランスのベルリオーズにまで影響を与えたそうです。
ウェーバーと同時代を生きたベートーヴェンは一曲だけオペラを遺していますが、ドイツ人がドイツ(※)を舞台として、一般的な民衆を登場人物として、作曲当時から今日まで広く親しまれているオペラとなると、ウェーバーはその開祖的な存在となるでしょう。
そして今日6月5日は、まさにウェーバーの命日にあたります。今回を含めて4回にわたってドイツ・オペラの歴史を駆け足で追ってみようと思います。
(※) 正確には、「魔弾の射手」はボヘミアが舞台とされているようですが、その西はベーメンなので、ドイツということになるでしょうか。
ところで、自己紹介に続く"オペラ深夜便"の第1回目のエントリーはこの曲を選んでいます。
深夜便1 ウェーバー 「魔弾の射手」 クーベリック
クーベリック盤はロマン的な色彩が強く、今夜聞いたカイルベルト盤は古典的な様式が顕著な演奏と言えるでしょうか。
2009/Jun
05
Friday
22:00
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ビゼー(1838-1875)
歌劇「カルメン」ハイライツ
カルメン: テレサ・ベルガンサ
ドン・ホセ: プラシド・ドミンゴ
エスカミーリョ: シェリル・ミルンズ
ミカエラ: イレアーナ・コトルバス
フラスキータ: イヴォンヌ・ケニー
メルセデス: アリシア・ナフェ
スニガ: ロバート・ロイド
アンブロジアン・シンガーズ
ジョージ・ワトソン・カレッジ少年合唱団
ロンドン交響楽団
指揮: クラウディオ・アバド
録音: 1977年
(68:36)
今夜はビゼーの「カルメン」です。
タイトル・ロールはベルガンサ、ドン・ホセにドミンゴ、エスカミーリョにミルンズ、そしてミカエラにコトルバスという名歌手が一堂に会すという豪華さ!
総じてしなやかな「カルメン」となっていますが、歌手陣だけでなく、オーケストラと合唱団を含め、アバドの隅々に至るまでの配慮があってのことでしょう。
「カルメン」に劇的な振幅を求めるならば、かつて聞いたマゼール盤となりますが、このアバド盤の練られた表現もたいへん聞きものと思います。
深夜便14 ビゼー 「カルメン」 マゼール
ベルガンサの題名役は、お上品すぎるかもしれませんが、妖艶なカルメンというより、現代にも通じる一般的な人間像を描いて妙と思っています。
なお、今日6月3日はビゼーの命日にあたります。
ロッシーニ(1792-1868)
歌劇「セビリャの理髪師」より
歌劇「ウィリアム・テル」序曲
歌劇「チェネレントラ」より
歌劇「アルジェのイタリア女」より
歌劇「泥棒かささぎ」序曲
ヘルマン・プライ
テレサ・ベルガンサ
ルイジ・アルヴァ
フランク・ロパード
ルッジェロ・ライモンディ
アレッサンドロ・コルベッリ
アグネス・バルツァ
ロンドン交響楽団
ヨーロッパ室内管弦楽団
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 他
指揮: クラウディオ・アバド
録音: 1971/1987/1989年
(74:36)
今夜はロッシーニの名曲集、"Rossinissimo!"です。
これは、クラウディオ・アバドが指揮するロッシーニの3つのオペラセットからの抜粋と、ヨーロッパ室内管弦楽団との序曲集から2曲を1枚のCDに収めた抜粋盤です。
コーヒー・ブレイクに"アリア集"を聞くこともすてきですが、このような抜粋盤ですと、独唱だけでなく重唱を聞くことができるため愉しさが増します。
また、プライ、ベルガンサ、ライモンディ、コルベッリ、バルツァを初めとする多くのスターを聞くことができることも嬉しい限りです(^-^)
欲を言えば、ヨーロッパ室内管との2つの序曲は響きがいくぶん硬めに感じられます。アバドがかつてロンドン交響楽団と録音した序曲集ではもっとしなやかさがあったように思えました。それでも、1時間15分近くもロッシーニの軽妙なウィットを充分に愉しみました。
モーツァルト(1756-1791)
歌劇「フィガロの結婚」ハイライツ
フィガロ: アラステア・マイルズ
スザンナ: ヌッチア・フォチーレ
アルマヴィーヴァ伯爵: A. コルベッリ
伯爵夫人: キャロル・ヴァネス
ケルビーノ: スザンナ・メンツァー
バルバリーナ: レベッカ・エヴァンス
バルトロ/アントニオ: アルフォンソ・アントニオッツィ
マルツェリーナ: スザンヌ・マーフィー
ドン・バジリオ/ドン・クルツィオ: ライランド・デイヴィス
スコットランド室内管弦楽団&合唱団
指揮: サー・チャールズ・マッケラス
録音: 1994年
(77:19)
今夜はモーツァルトの「フィガロの結婚」です。
今週は重い作品が続きましたので、モーツァルトで風通しをよくしましょう(≧∇≦)
「フィガロの結婚」との出会いは抜粋盤でしたが、部分的には楽しめても、なかなか親近感は湧いてきませんでした。その後、全曲を聞く機会があり、微妙な心情のひだをいかにモーツァルトが絶妙の音楽をつけているかを知りました。
ストーリーも入り組んでいますが、やはりこれはハイライツを聞くよりも全曲を聞いたほうが理解しやすいでしょうね。私はこれ以降、「オペラは全曲を聞くべき」という思いに縛られる(??)ことになります。
しかし、学生時代ならまだしも、社会人となってしまうと、なかなか時間がとれないこともあり、ふたたび抜粋盤にお世話になるようになりました(´▽`) いったんストーリーが呑み込むことができれば、どの場面かもよく分かりますから。
今夜聞いたマッケラス盤は、過日聞いた「ドン」との2枚組CDの1枚です。これで1,000円未満でしたから、お買い得でした(^-^)
深夜便31 モーツァルト 「ドン・ジョヴァンニ」 マッケラス
リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)
一幕の劇「サロメ」より
1. 7枚のヴェールの踊り
2. フィナーレ・シーン
サロメ: インゲ・ボルク
シカゴ交響楽団
指揮: フリッツ・ライナー
録音: 1954年&1955年
(26:10)
今夜はリヒャルト・シュトラウスの「サロメ」です。
シュトラウスは管弦楽曲とオペラに多くの名作を遺しましたが、純粋な管弦楽曲作品はほぼ19世紀に集中して書かれており、20世紀に入ると晩年に至るまで作曲の中心はオペラになっています。完成したオペラはすべてで17作品となるのでしょうか?
20世紀に入って最初に書かれたオペラが「サロメ」です。シュトラウスにとっては第3作目のオペラとなりました。1903年に着手し1905年に完成していますが、当時の音楽情勢からすれば、かなり前衛的な作品となるでしょう。
この曲はシュトラウス特有のサウンド、熟れすぎた果実のような趣があります。このCDでは、「7枚のヴェールの踊り」と最終シーンが収められているにすぎませんが、存分に豪華なシュトラウス・ワールドを堪能しました。かつては、この退廃的な官能性を苦手にしていた時期もありましたが、たまにはいいものです(^-^)
それにしても、前回の「トスカ」、そして今夜の「サロメ」とロマンティックでありながら攻撃性の強いオペラが続いてしまいました(≧∇≦)
プッチーニ(1858-1924)
歌劇「トスカ」ハイライツ
トスカ: キャサリーン・マルフィターノ
カヴァラドッシ: プラシド・ドミンゴ
スカルピア: ルッジェーロ・ライモンディ
ローマRAI交響楽団&合唱団
指揮: ズビン・メータ
録音: 1992年
(73:49)
今夜はプッチーニの「トスカ」です。
前回、映画のサウンド・トラックとして収録された「タンホイザー」の録音を聞きましたが、この「トスカ」は、もとは映像用として収録されています。また、私が聞いたのはハイライツですが、これには全曲盤もあるようです。
マルフィターノの題名役は灰汁が強く、そのあたりが好悪を分けるかもしれません。私はこのような路線も好きですけれども、いつも聞くには疲れてしまうかもしれません(≧∇≦)
ドミンゴの張りのある美声は、こういったイタリア歌劇では巧さが光ります。ライモンディのスカルピアもとても好きです。あまり悪役然とはしていませんけれども。
メータの指揮は冒頭こそ豪華なサウンドで圧倒しますが、その後は「テ・デウム」を含め、情感豊かでありながら流麗でさえあります。
このCDは抜粋盤とはいえ全曲の6割を超える1時間15分近くが収録されており、充分に「トスカ」を堪能することができました(^-^)
ワーグナー(1813-1883)
歌劇「タンホイザー」ハイライツ
エリザベート: キリ・テ・カナワ
タンホイザー: ルネ・コロ
ヴォルフラム: ホーカン・ハーゲゴード
ヴェーヌス: ヴァルトラウト・マイアー
アンブロジアン・シンガーズ
合唱指揮: ジョン・マッカーシー
フィルハーモニア管弦楽団
指揮: マレク・ヤノフスキ
録音: 1990年
(60:57)
今夜はワーグナーの「タンホイザー」です。
ワーグナーは生涯に13の舞台作品を遺しましたが、初期の3つのオペラは演奏される機会もなかなかないようです。第4作「さまよえるオランダ人」以降の10作品となると、録音も多いですね。
「タンホイザー」は「オランダ人」の次に完成したオペラですが、ワーグナー作品にあって音楽的に最も親しみやすいオペラと思います。
愛欲の日々に溺れ、穢れてしまった主人公→
それに飽きて、故郷(?)に帰る→
そこではかつての恋人が、その男の帰りを待っていた→
遊び呆けていたことが周囲にばれる→
懺悔の旅に出るけれども、なかなか赦されない→
赦しを諦めて、また愛欲の日々に戻ろうとする→
恋人の自己犠牲(自殺)によって、男の過ちが赦される→
恋人の名を口にして彼もまた死ぬ。
ストーリーも難しくなく、分かりやすいですね(≧∇≦)
この要約には含みませんでしたが、このオペラのキーマンは、主人公(タンホイザー)とその恋人(エリザベート)の共通の友人であるヴォルフラムでしょう。ホントはエリザベートのことが好きだけれども、友情を優先するというオイシイ役どころです。
有名な「巡礼の合唱」を含め、聞きどころ満載の曲ですが、今夜聞いたハイライツ盤は、もともと映画のサウンド・トラックとして収録されたようで、CD1枚に名場面が収められています。
この主人公は、ワーグナー自身を描いたものであるとする向きもあるようですが、今日5月22日はまさに、そのワーグナーの生誕日。毀誉褒貶の激しい作曲家ではありますが、「タンホイザー」は純粋にオペラとして楽しむことができる作品と思います。
2009/May
22
Friday
21:00
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ヴェルディ(1813-1901)
歌劇「アイーダ」ハイライツ
アイーダ: エイプリーレ・ミッロ
アムネリス: ドローラ・ザジック
ラダメス: プラシド・ドミンゴ
ラムフィス: サミュエル・ラメイ
アモナスロ: ジェイムス・モリス
メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
指揮: ジェイムス・レヴァイン
録音: 1990年
(75:17)
今夜はヴェルディの「アイーダ」です。
「ドン・カルロ」に次いで作曲されたオペラですが、1870年に着手し同年中に完成、翌1871年に初演されています。ヴェルディとしてはかなり短期間に書かれた曲と思います。
この後、ヴェルディが新しいオペラを完成させたのは、15年以上も後の「オテロ」(1886年完成、1887年初演)まで待つことになります。なお、「アイーダ」と「オテロ」の間には、「レクイエム」が作曲されています。
このように「アイーダ」はヴェルディ中期の総決算的な作品と位置づけることができると思いますが、父(バリトン)と娘(プリマ・ドンナ)の悲劇、そしてプリマ・ドンナと男性(テノール)の悲恋というヴェルディならではの特徴が認められるでしょう。
今夜はレヴァインの抜粋盤を取り出しました。ドミンゴ、ラメイ、モリスと男声陣は隙がありません。
マスカーニ(1863-1945)
歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」全曲
サントゥッツァ: レナータ・スコット
トゥリッド: プラシド・ドミンゴ
アルフィオ: パブロ・エルヴィラ
ローラ: イソラ・ジョーンズ
ルチーア: ジーン・クラフト
アンブロジアン・オペラ・コーラス
合唱指揮: ジョン・マッカーシー
ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団
指揮: ジェイムス・レヴァイン
録音: 1978年
(70:48)
今夜はマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」です。
「カヴァレリア・ルスティカーナ」は、私にとってイタリア歌劇を好きになるきっかけとなったオペラです。血なまぐさいストーリーではありますが、内容はシンプルで分かりやすいですし、音楽を聞くだけで情景が脳裏に浮かぶような魅力がありました。
そして、その出会いの録音がレヴァイン盤でした。アメリカ人指揮者によるイギリスのオーケストラの演奏ではありますが、合唱を含めて、「田舎の騎士道」といった粗さが巧みに描き出されています。
もちろん、ここでの最大の魅力の一つは、若き日のドミンゴにあるでしょう。トゥリッドとしては声質が"賢く"聞こえてしまうかもしれませんが、やはりその美声には思わず惹きこまれてしまいます。スコットを含め、共演者にも恵まれた好演と思います。
なお、タイトルでは作曲者名を割愛しましたが、いつものようにすべてを記すとタイトルの枠内に収まらないための措置です。(あとは、フンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」の時にも起こりそう(≧∇≦)