ワーグナー(1813-1883)
歌劇「タンホイザー」全曲
ヘルマン: ゴットロープ・フリック
タンホイザー: ハンス・ホップ
ヴォルフラム: D.フィッシャー=ディースカウ
ヴァルター: フリッツ・ヴンダーリッヒ
ビーテロルフ: ルドルフ・ゴンザール
ハインリッヒ: ゲルハルト・ウンガー
ラインマール: ライネル・シュス
エリザーベト: エリザベート・グリュンマー
ヴェーヌス: マリアンネ・シェヒ
牧童: リーザ・オットー
ベルリン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
合唱指揮: カール・シュミット
指揮: フランツ・コンヴィチュニー
録音: 1960年
(58:33/70:28/54:04)
今夜はワーグナーの「タンホイザー」です。
ウェーバーの後継者となることを目指した少年ワーグナーは、けっきょくドイツのオペラというより、オペラそのものだけでなくクラシック音楽の歴史を変えてしまうような存在となってしまいました。
ライバルのヴェルディがイタリア統一運動の中で生きたように、ワーグナーもまたドイツが統一される時代に生きた作曲家でもありました。
ところが、「さまよえるオランダ人」以降の主要作品では、明確にドイツが舞台となっていると分かるオペラは「タンホイザー」と「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の2作のみとなると思います。今回は、「魔弾の射手」に続いて"ドイツの森での物語"という共通点から、前者を選びました。
何とはなしに、コンヴィチュニー指揮によるCDを選びましたが、前回の「魔弾の射手」とこの「タンホイザー」は、ともにグリュンマーがヒロインを務め、フリック、オットーといった共演者がいることに気づきました。
収録年を見てみると2年の差、収録場所はともにベルリンですが、大きな違いは前者が西ベルリンであったのに対し、後者は東ベルリンであったことです。
これらの収録当時、既に冷戦は始まっていましたが、欧州でのその象徴ともいえるベルリンの壁が東ドイツによって建設されたのは、この「タンホイザー」収録の翌年、1961年のことでした。
ワーグナーが夢見た民衆によるドイツ統一は、それから29年後の1990年になってやっと果たされたことは記憶に新しいところです。
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