ワーグナー(1813-1883)
楽劇「トリスタンとイゾルデ」第2幕
イゾルデ: キルステン・フラグスタート
ブランゲーネ: ブランシェ・シーボム
トリスタン: ルートヴィヒ・ズートハウス
クルヴェナール: D. F. ディースカウ
メロート: エドガー・エヴァンス
マルケ王: ヨーゼフ・グラインドル
フィルハーモニア管弦楽団
指揮: ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
録音: 1952年
(49:35/37:24)
今夜はワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」第2幕です。
この曲の第2幕は、あまりにふたりの題名役に負担が大きすぎるためでしょうか、第2場の一部がカットされることがあります。この部分は、所謂「昼の対話」と呼ばれる場面です。
この部分をカットすると、いささかイゾルデの歌詞の流れに無理が生じるのですが、音楽的にはあまり溝が生じません。これがそのカットを広めた理由の一つになっているかもしれません。古い年代の録音で聞くと、この場面がカットされていることが多く、如何にこれが一般化していたかを窺うことができます。
「昼の対話」は、トリスタンとイゾルデがすべてが白日の下となる昼の束縛からの逃避を願い、夜を賛美する前後と対照をなす場面と位置づけることが可能でしょう。そこにワーグナーが作曲した音楽は、かなり激情をともなっており、いったんこの魅力にとり憑かれてしまうと、やはりカットには馴染めなくなってしまいます。
古い年代の録音では、歌手がすばらしいことが多く、それだけに、そのカットがあることにとても残念に思うことがあります。今夜聞いたフルトヴェングラー盤は、モノラル時代の録音ではありますが、「昼の対話」のカットはありません。
とても聞き応えのある名演と思いますが、件の「昼の対話」については、落ち着き払っている感が無きにしもあらずでした。
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2009/Aug
28
Friday
21:00
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