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オペラ深夜便 - メモ帳

深夜便のメモ帳

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2024/May
Thursday
11:50
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深夜便72 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」 チョン・ミュンフン

ショスタコーヴィチ(1906-1975)
歌劇「ムツェンスク郡のマクベス夫人」全曲
1932年原典版
ボリス: オーゲ・ハウグランド
ジノーヴィー: フィリップ・ラングリッジ
カテリーナ: マリア・ユーイング
セルゲイ: セルゲイ・ラーリン
アクシーニャ: クリスティーネ・チーシンスキ
ボロを着た農民: ハインツ・ツェドニック
老囚: クルト・モル
パリ・バスティーユ歌劇場管弦楽団&合唱団
合唱指揮: グンター・ワーグナー
指揮: チョン・ミュンフン
録音: 1992年
(79:20/76:27)


今夜はショスタコーヴィチの「ムツェンスク郡のマクベス夫人」です。

このオペラは1930年から32年にかけて作曲されていますので、ショスタコーヴィチ20代半ばの作品となります。性的描写など過激な内容名であるにもかかわらず、1934年の初演から好評を博しました。ところが、ソ連の独裁者スターリンの逆鱗に触れ、ショスタコーヴィチは窮地に追い込まれてしまいます。

これが旧ソ連の音楽史上、悪名高い「プラウダ批判」ですが、この批判は"粛清"を暗示するものとして、ショスタコーヴィチは生命の危機に晒されることになったのです。これ以来、紆余曲折はあったにせよ、生涯を通じてショスタコーヴィチが悩まされることになります。

ソビエト連邦は1922年に成立、1991年に崩壊していますから、その歴史はおよそ70年。この期間に6,200万以上が粛清されたと現ロシア政府が公開していますが、まさにその中に生きたショスタコーヴィチは、容易に想像し難い苦難の連続であったと思われます。

「マクベス夫人」はまだそのような恐怖がショスタコーヴィチを襲う前に書かれたオペラではありますが、それを暗示するような筆致となっていることは、この作曲家を読み解く一つの鍵となっているような気もします。どのような状況下であれ、この鬱屈した趣は、やはりショスタコーヴィチはショスタコーヴィチであるしかなかったのかもしれません。

なお、このオペラのヒロイン名はカテリーナ・イズマイロヴァですが、殺人に手を染め、野心を抱いた女性として、シェイクスピアの「マクベス夫人」の名を比喩として用いられたようです。(「ムツェンスク郡のマクベス夫人」の原作はニコライ・レスコフによる小説。)

今日8月9日はレオンカヴァルロの命日でもありますが、今夜はショスタコーヴィチの命日を優先しました。
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2009/Aug
Sunday
00:00
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深夜便
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性別:
男性
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