フンパーディンク(1854-1921)
メルヘン歌劇「ヘンゼルとグレーテル」全曲
ヘンゼル: アンナ・モッフォ
グレーテル: ヘレン・ドナート
ペーター: D. フィッシャー=ディースカウ
ゲルトルート: シャルロッテ・ベルトルド
魔女: クリスタ・ルートヴィヒ
眠りの精: アーリーン・オジェー
暁の精: ルチア・ポップ
テルツ少年合唱団
合唱指揮: ゲルハルト・シュミット=ガーデン
ミュンヘン放送管弦楽団
指揮: クルト・アイヒホルン
録音: 1971年
(59:34/42:20)
今夜はフンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」です。
19世紀後半のドイツ作曲家にとって、オペラ創作は困難を極めたに違いありません。ワーグナーがその中期作品から追いつめてしまったオペラというジャンルに新機軸を編み出すことは容易ではなかったでしょう。
それに最も悩んだのは長男のジークフリート・ワーグナーかもしれません。ジークフリートはおとぎ話的な素材を用いてオペラを遺していますが、それはジークフリートが師事したフンパーディンクの影響かもしれません。(フンパーディンクは父ワーグナーのアシスタントをしていたこともあります。)
フンパーディンクもまたおとぎ話を素材としてオペラをいくつか作曲しているそうですが、最も有名な作品こそ「ヘンゼルとグレーテル」でしょう。ワーグナーの作曲技法を継承しつつ、"雰囲気"としては、ワーグナー中期前半に戻っている感があります。
"ドイツの森"というテーマに焦点を合わせると、
「魔弾の射手」 (1821) →
「タンホイザー」 (1845) →
「ヘンゼルとグレーテル」 (1893)
と流れができました。
なお、「ヘンゼルとグレーテル」初演の指揮はリヒャルト・シュトラウスが執ったそうです。
さて、今夜はアイヒホルンによる全曲盤を聞きましたが、歌手陣のすばらしさに惚れ惚れとしました。テルツ少年合唱団とオーケストラも夢見心地です。
ことにヘンゼルを歌うモッフォは、かつて聞いた妖艶なカルメンとは別人のような愛らしさに満ちています。
深夜便14 ビゼー 「カルメン」 マゼール
また、眠りの精にオジェー、暁の精にポップと脇役もたいへん豪華ですが、今日6月10日はオジェーの命日にあたります。先のマゼールの「カルメン」でもすばらしい歌唱を聞かせてくれていました。
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2009/Jun
10
Wednesday
22:00
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