モーツァルト(1756-1791)
歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」ハイライツ
フィオルディリージ: S. マルジオーノ
ドラベルラ: デローレス・ジーグラー
グィレルモ: ジル・カシュマイユ
フェルランド: デオン・ファン・デル・ヴァルト
デスピーナ: アンナ・シュタイガー
ドン・アルフォンソ: トーマス・ハンプソン
オランダ歌劇場合唱団
合唱指揮: ヴィンフリート・マチェウスキ
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
指揮: ニコラウス・アーノンクール
録音: 1991年
(73:59)
今夜はモーツァルトの「コシ・ファン・トゥッテ」です。
2月からモーツァルト=ダ・ポンテ3部作をハイライツ録音で聞いてきましたが、今夜はこれまでの流れからアーノンクール&コンセルトヘボウの録音を選びました。
「コシ」は「ドン」とならんでモーツァルトのオペラの中でも最も頻繁に聞く曲ですが、かつてはほとんど全曲を通して鑑賞することがほとんどでした。
たとえば「フィガロ」は前半が動、後半が静と大雑把に捉えることが感覚的に可能と思いますが、「コシ」は動と静の対比が絶えずあり、ストーリー展開のスピードに落差があるため、CD1枚にハイライツとして収めるには無理が生じてしまうことが多いからでしょう。
このアーノンクールのハイライツ盤は、その塩梅が巧みと思えます。しかしながら、歌手陣の豪華さは「ドン」や「フィガロ」には及ばないかもしれません。ことに女声陣にそれが顕著ですが、アーノンクールの時として粘る表現も含めて、全体的に暗めの色調となっていると思います。
「コシ」をジョークとして生き生きとしたドラマとするか、人間的なサガを描いて深遠さを追求するか、このオペラは二つの側面を持っていると思いますが、アーノンクールは後者を採っているようです。私は「どちらかが正しい」とする論調にはついていけませんが、そのどちらを以ってしても「コシ」は名曲と思います。
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