パーセル(1659-1695)
歌劇「ディドーとエネアス」全曲
ディドー: アンネ・ソフィー・フォン・オッター
ベリング: リン・ドーソン
エネアス: スティーヴン・ヴァーコー
魔法使いの女: ナイジェル・ロジャース
第1の水夫: ナイジェル・ロジャース
第1の魔女: エリザベス・プライデイ
第2の女: サラ・レナード
精霊: キム・アンプス
イングリッシュ・コンサート合唱団
イングリッシュ・コンサート
コンサート・マスター: サイモン・スタンデイジ
指揮&チェンバロ: トレヴァー・ピノック
録音: 1988年
(53:56)
今夜はパーセルの「ディドーとエネアス」です。
パーセルはその短い生涯に多くの舞台作品を作曲しましたが、厳密な意味での"オペラ"となると「ディドーとエネアス」が唯一となるそうです。私はパーセルの舞台作品は「ディドー」を知るのみですが、他の作品は仮面劇のようなものとなるのでしょうか。
古代ローマの伝説に基づいた「ディドーとエネアス」は、演奏によってその趣がだいぶ変わってくるかもしれません。浪漫的な演奏となれば、恋愛物語としての要素が強調されて、より"近代的なオペラ"の趣となりますし、禁欲的な演奏となれば、格調高い"オペラ・セリア"となるでしょう。
ピノックの演奏は、あきらかに後者であり、音響的な清楚さだけでなく、"悲劇"を概念として捉えるバロック様式を再現して妙と思います。
聴衆に"悲劇"というドラマを巧みに描くプッチーニ、共感をもたらすヴェルディ、聴衆を呑み込んでしまうようなワーグナー、客観的に描くムソルグスキーを最近聞いてきましたが、今夜聞いたパーセルの美感は、時代をだいぶ遡ったにもかかわらず、かえって清冽に聞こえました。なお、今年はパーセルの生誕350年となります。
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2009/Apr
12
Sunday
19:00
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