ワーグナー(1813-1883)
舞台神聖祝典劇「パルジファル」ハイライツ
パルジファル: ゴットヘルフ・ピストーア
グルネマンツ: ルートヴィヒ・ホフマン
アンフォルタス: C.ブロンスヘースト
花の乙女: インゲボリ・ホルムグレン 他
ベルリン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団
合唱指揮: フーゴー・リューデル
指揮: カール・ムック
録音: 1927年&1928年
(41:29/68:39)
今夜はワーグナーの「パルジファル」です。
ワーグナーがこの曲を完成させたのは1882年1月13日、初演はその夏にバイロイトで執り行われました。翌1883年2月13日にワーグナーはヴェネツィアで客死していますので、「パルジファル」はまさにワーグナー最後の舞台作品です。
ワーグナーは世を去る直前まで「タンホイザー」の改定に意欲をもっていたようですが、ワーグナーのような規模の大きい作品を主として取り組んでいた作曲家に未完の作が無いことには驚かされます。構想がまとまっていたものにかんしては、すべて完成させることができたのは、ワーグナーにとっても後世の人々にとっても幸運なことでした。
今夜聞いた録音はベルリンとバイロイトで収録された抜粋です。第1幕前奏曲と第3幕の抜粋がベルリン国立歌劇場、第1幕抜粋と第2幕抜粋がバイロイト祝祭で収録されています。指揮は、カール・ムック。「パルジファル」は一時期、バイロイト門外不出の作品となっていましたが、当時この曲の指揮を委ねられていた指揮者の一人がムックです。
今から80年以上も前に収録されたとは思えないほど音は鮮明です。戦後に放送音源をもとに復刻された多くのバイロイトでの録音のように音がこもることがありません。歌手とオーケストラのバランスにも優れています。
そして、なによりこの気高い演奏に感銘を受けます。大袈裟な身ぶりがなく、目がつんだ歌唱とオーケストラは決して大時代的なものではありません。ムックの演奏は、「この時代、あの時代ではなく、すべての時代の『パルジファル』」と絶賛されていたようですが、その"証拠"がここにあると思えます。
抜粋ながら110分も収録されていますが、その1時間以上は第3幕に割かれています。そして、この2枚組のCDセットの最後には、ワーグナーとコジマの息子ジークフリートがバイロイト祝祭を指揮した「聖金曜日の奇蹟」も併録されています。
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