ヴェルディ(1813-1901)
歌劇「アイーダ」ハイライツ
アイーダ: エイプリーレ・ミッロ
アムネリス: ドローラ・ザジック
ラダメス: プラシド・ドミンゴ
ラムフィス: サミュエル・ラメイ
アモナスロ: ジェイムス・モリス
メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
指揮: ジェイムス・レヴァイン
録音: 1990年
(75:17)
今夜はヴェルディの「アイーダ」です。
「ドン・カルロ」に次いで作曲されたオペラですが、1870年に着手し同年中に完成、翌1871年に初演されています。ヴェルディとしてはかなり短期間に書かれた曲と思います。
この後、ヴェルディが新しいオペラを完成させたのは、15年以上も後の「オテロ」(1886年完成、1887年初演)まで待つことになります。なお、「アイーダ」と「オテロ」の間には、「レクイエム」が作曲されています。
このように「アイーダ」はヴェルディ中期の総決算的な作品と位置づけることができると思いますが、父(バリトン)と娘(プリマ・ドンナ)の悲劇、そしてプリマ・ドンナと男性(テノール)の悲恋というヴェルディならではの特徴が認められるでしょう。
今夜はレヴァインの抜粋盤を取り出しました。ドミンゴ、ラメイ、モリスと男声陣は隙がありません。
ヴェルディ(1813-1901)
歌劇「ラ・トラヴィアータ」ハイライツ
ヴィオレッタ: エディタ・グルベローヴァ
フローラ: パトリシア・スペンス
アンニーナ: モニカ・バチェッリ
アルフレード: ニール・シコフ
ジョルジョ: ジョルショ・ザンカナーロ
ガストーネ: キム・ベグリー
ドゥフォール男爵: ピーター・シドム
ドビニー侯爵: デイヴィド・バレル
グランヴィル医師: アラステア・マイルズ
アンブロジアン・シンガーズ
合唱指揮: ジョン・マッカーシー
ロンドン交響楽団
指揮: カルロ・リッツィ
録音: 1992年
(71:49)
今夜はヴェルディの「ラ・トラヴィアータ」です。
アルフレードの一途さを描くシコフにとても好感がもてますが、ここでの聞きものは、なんといってもグルベローヴァのヴィオレッタでしょう。その繊細かつ緊張感をともなった歌唱には圧倒されるばかりです。
きわめて神経が行き届いた歌唱ですので、聞きようによっては「微に入り細に入り鬱陶しい」と思えるかもしれませんが、やはりこのオペラで展開される"人間の脆弱さ"をこれほど痛感する演奏も私は他に知りません。
「ラ・トラヴィアータ」をもっと豊饒な"物語"として愉しむ時には、以前に記したテバルディの歌唱を聞くことにしています。
深夜便11 ヴェルディ 「ラ・トラヴィアータ」 プラデッリ
聞く時の気分によって、どちらかを選択できるのはやはり贅沢でしょう。ハイライツ盤とはいえ、ともに1時間以上収録されて廉価盤であることは嬉しい限りです。
ヴェルディ(1813-1901)
歌劇「ナブッコ」ハイライツ
ナブッコ: マッテオ・マヌグエラ
イズマエーレ: ヴェリアーノ・ルチェッティ
ザッカリーア: ニコライ・ギャイロフ
アビガイッレ: レナータ・スコット
フェネーナ: エレーナ・オブラスツォワ
ベルの祭司長: ロバート・ロイド
アブダッロ: ケネス・コリンズ
アンナ: アンネ・エドワーズ
アンブロジアン・オペラ・コーラス
合唱指揮: ジョン・マッカシー
フィルハーモニア管弦楽団
指揮: リッカルド・ムーティ
録音: 1978年
(64:46)
今夜はヴェルディの「ナブッコ」です。
「ナブッコ」はヴェルディのオペラ作品の3作目にあたり、その知名度を高めた出世作ということで有名でしょう。初演は1842年3月ですから、時にヴェルディ28歳。
序曲と第3幕第2場の「行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って」が突出して有名なオペラですが、それらはヴェルディの若々しい筆致を感じることができるでしょう。
しかしながら、各アリアにも魅力が溢れており、その作曲語法は、後年のヴェルディのスタイルが既にこの時点で確立されていることを思い知らされます。
マヌグエラの題名役も好演ですが、それをギャウロフ、スコット、オブラスツォワ、ロイドといった大歌手がしっかり固めており、殊にギャウロフとスコットは素晴らしい歌唱を披露しています。
今夜は抜粋盤での鑑賞ですので、全曲の半分ほどとなりますが、聞き応え充分の歌手に加え、若き日のムーティの情熱が丁寧さに支えられており、このオペラを堪能することができました。
2009/Apr
05
Sunday
20:00
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ヴェルディ(1813-1901)
歌劇「ラ・トラヴィアータ」ハイライツ
ヴィオレッタ: レナータ・テバルディ
アルフレード・ジェルモン: ジャンニ・ポッジ
ジョルジョ・ジェルモン: アルド・プロッティ
アンニーナ: リナ・カヴァレッリ
フローラ: アンジェラ・ヴェルチェッリ
ガストーネ: ピエロ・デ・パルマ
ドゥフォール男爵: アントニオ・サケッティ
ドビニー侯爵: ダリオ・カセッリ
グランヴィル医師: イヴァン・サルディ
ローマ聖チェチーリア・アカデミー管弦楽団&合唱団
指揮: フランチェスコ・モリナーリ=プラデッリ
録音: 1954年
(62:38)
今夜はヴェルディの「ラ・トラヴィアータ」です。
このオペラは私にとって典型的な"プリマドンナ・オペラ"です。前回の「トスカ」では、題名役だけでなくカヴァラドッシもスカルピアも同等にして重要な役割を担っていると思いますが、「ラ・トラヴィアータ」ではヴィオレッタの魅力に、そのオペラそのものの出来が左右されてしまうでしょう。
ヴェルディやプッチーニといったレパートリーでは、私はレナータ・テバルディに信頼を寄せています。必ずしも最高の配役とはならずとも、平均点が非常に高く、裏切れることなく安心して聞くことできるのです。
ヴィオレッタとしてのテバルディは気丈にして力強すぎ、ことに前半では無理があるような感もありますが、ハイライツ盤であっても、その後半へ向けての悲劇の表出は見事と思います。
オーケストラを含め他の配役も、私にとってヴェルディを愉しむツボである"歌"と"暖かみ"があります。これが本場ものの強みとなるのでしょうか? 繊細な悲劇としての「ラ・トラヴィアータ」ではありませんが、豊かなオペラの世界を充分に堪能しました。
2009/Mar
17
Tuesday
00:00
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ヴェルディ(1813-1901)
歌劇「ファルスタッフ」ハイライツ
ファルスタッフ: ドメニコ・トリマルキ
フォード: ロベルト・セルヴィール
フェントン: マウリツィオ・コメンチーニ
カイウス: エンリーコ・ファチーニ
バルドルフォ: アレッサンドロ・コゼンティーノ
ピストーラ: フランコ・デ・グランディス
アリーチェ: ジュリア・フォークナー
ナンネッタ: ディルベール
クイックリー夫人: アンナ・マリア・ディ・ミッコ
メグ・メージ夫人: アンナ・ボニタティブス
ハンガリー国立歌劇場管弦楽団&合唱団
合唱指揮: アニコー・カトナ
指揮: ヴィル・フンブルグ
録音: 1996年
(71:44)
今夜はヴェルディの「ファルスタッフ」です。
にほんブログ村にモーツァルト、ワーグナー、プッチーニ、R.シュトラウスといった偉大なオペラ作曲家のコミュニティは既にありましたが、なぜかヴェルディはありませんでした。そこで、数日前に自分自身で作ってしまいました(≧∇≦)
「アイーダ」と「レクイエム」を完成した後のヴェルディは、その後しばらく大作から遠ざかっていましたが、1886年に「オテロ」を完成し、穏やかな老後の生活を愉しもうとしていたようです。ところが、1892年に「ファルスタッフ」を脱稿、翌年ヴェルディ80歳の年に初演されています。
ヴェルディの最後のオペラが、このようなウイットに富んだものとなったことはとても興味深いですね。また、これがたんなる"お笑い"オペラではなく、人間の深層心理を描いたものとしての大傑作ということはいたるところで語られているようです。
「脇役が存在するのだろうか?」と思えるほど、どの役も全体の中で重要なポジションを担っており、"アンサンブル・オペラ"と形容したくなります。「コシ・ファン・トゥッテ」や「ニュルンベルクのマイスタージンガー」などもそのような例に入るでしょう。
しかし、「ファルスタッフ」の場合、「コシ」や「マイスタージンガー」と決定的に異なることが、たとえ一部の歌手が突出しようとしても、ヴェルディの筆致によって"アンサンブル"の一部となってしまうことにあると思えます。
今夜は全曲ではなく、ハイライツ盤での鑑賞でしたが、それでも充分「ファルスタッフ」を堪能しました。抜粋の場面選択は少ししっくりきませんでしたが…。
2009/Mar
06
Friday
22:00
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ヴェルディ(1813-1901)
歌劇「リゴレット」ハイライツ
マントヴァ公爵: リチャード・リーチ
リゴレット: アレクサンドル・アガーキ
ジルダ: レオンティーナ・ヴァドゥーヴァ
スパラフチーレ: サミュエル・ラメイ
マッダレーナ: ジェニファー・ラーモア
ジョヴァンナ: パトリシア・バードン
モントローネ伯爵: アラステア・マイルズ
ウェルシュ・ナショナル・オペラ管弦楽団&合唱団
指揮: カルロ・リッツィ
録音: 1993年2月
(75:51)
今夜はヴェルディの「リゴレット」です。
私にとって親しみのあるヴェルディのオペラは、中期傑作群のトップバッターともいえる「リゴレット」以降の作品となります。「リゴレット」の初演は1851年、ヴェルディ37歳の時のことでした。
ヴェルディの作風は中期期の半ばくらいになると、心理描写が繊細かつ複雑になっていきますが、「リゴレット」は良い意味での解りやすさがあると思います。
リーチのマントヴァ公爵、アガーキの題名役、そしてヴァドゥーヴァのジルダの歌唱は魅力的ですが、ハイライツ盤なので、ラメイのスパラフチーレを聞くことができないことがとても残念です。しかし、音楽的に抜粋が巧みであり、流れが分断されることはありません。
いくぶんコンサート・スタイルの演奏と言えるかもしれませんが、充分に愉しめて、今夜は2回も続けて聞いてしまいました。
2009/Feb
28
Saturday
23:00
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