ロッシーニ(1792-1868)
歌劇「タンクレーディ」全曲
タンクレーディ: エヴァ・ポドゥレス
アメナイーデ: スミ・ジョー
アルジーリオ: スタンフォード・オールセン
オルバッツァーノ: ピエトロ・スパニョーリ
イザウーラ: アンナ・マリア・ディ・ミッコ
ロッジェーロ: ルクレーティア・レンディ
合唱: カペッラ・ブルジェンシス
管弦楽: コレギウム・インストルメンターレ・ブルジェンセ
指揮: アルベルト・ゼッダ
録音: 1994年
(75:20/72:07)
今夜はロッシーニの「タンクレーディ」です。
ロッシーニは生涯に40近いオペラを遺していますが、その創作はわずか20年ほどに限られています。10代後半から始まり、37歳(1829年)の時に作曲した「ウィリアム・テル」が最後のオペラとなりました。76歳で没するまで、美食家としてレストラン経営などをしながら優雅に過ごしたそうです。羨ましいですね(≧∇≦)
「タンクレーディ」は1813年の作で、同じ年にロッシーニによるブッファの傑作「アルジェのイタリア女」も作曲されています。「タンクレーディ」の初演は2月6日ということですので、まだロッシーニは20歳だったことになります。(ロッシーニの誕生日は2月
29日。)才能もここまでくると、すごすぎて、羨ましいという気もおきません(^-^)
このオペラは、大きく分けて2種の版に分かれます。初演のヴェネツィア版=ハッピーエンド、そして初演と同年に書き直されたフェラーラ版=ヴォルテールの原作と同じ=悲劇的結末。今夜聞いたゼッダ盤は前者に基づいています。
前世紀から始まった"ロッシーニ・ルネッサンス"の第一人者に相応しいゼッダの重くならず、軽薄ではないドラマの運びはすばらしいと思います。ポドゥレスの題名役を含め、オールセンや他の諸役も隙がありませんが、ここでのビッグネームはなんといってもスミ・ジョーでしょう。プリマ・ドンナ風になることなく、アンサンブルとして聞かせてくれるところは流石です。
今の私には、ロッシーニのブッファならば「アルジェのイタリア女」、セリアならば「タンクレーディ」がお気に入りです。そして、爽やかなハッピーエンド版であることにわだかまりが無ければ、この録音はきわめて上質のものと思います。
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