ワーグナー(1813-1883)
楽劇「ニーベルングの指環」ハイライツ
「ラインの黄金」
フロー: ドナルド・グローベ
ヴォータン: D.フィッシャー=ディースカウ
フリッカ: ジョセフィン・ヴィージー
ローゲ: ゲルハルト・シュトルツェ
ヴォークリンデ: ヘレン・ドナート
ヴェルグンデ: エッダ・モーザー
フロースヒルデ: アンナ・レイノルズ
「ワルキューレ」
ジークムント: ジョン・ヴィッカース
ヴォータン: トマス・ステュワート
「ジークフリート」
ジークフリート: ジェス・トーマス
ミーメ: ゲルハルト・シュトルツェ
ブリュンヒルデ: ヘルガ・デルニッシュ
「神々の黄昏」
ジークフリート: ヘルゲ・ブリリオート
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮: ヘルベルト・フォン・カラヤン
録音: 1966-1970年
(70:20)
今夜はワーグナーの「ニーベルングの指環」です。
"序夜と3日間の舞台祝祭劇"と冠する「指環」ですが、今夜はCD1枚にハイライトを収めたカラヤン盤を聞きました。きわめて抒情的な演奏ですが、それに合わせてか歌手陣もリリカルなタイプを選出していると思います。
ステュワートのヴォータン、トーマスのジークフリートにそれが顕著ですが、脇役ながらヴォークリンデにドナートを起用していることが端的にそれを物語っているかもしれません。シュトルツェのローゲとヴィッカースのジークムントは例外となるでしょうけれども。
オーケストラは流麗ですが、鋭さと力強さもカラヤン&ベルリンフィルらしく、"ジークフリートの死と葬送"の壮絶な音響がもたらすドラマにはただただ圧倒されるだけです。
「指環」のハイライトをCD1枚に収めたものとなると、ある意味で割り切って考えることが必要と思いますが、それでも、カラヤンのワーグナーを聞くという充足感は得られました。
ワーグナー(1813-1883)
舞台神聖祝典劇「パルジファル」ハイライツ
パルジファル: ゴットヘルフ・ピストーア
グルネマンツ: ルートヴィヒ・ホフマン
アンフォルタス: C.ブロンスヘースト
花の乙女: インゲボリ・ホルムグレン 他
ベルリン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団
合唱指揮: フーゴー・リューデル
指揮: カール・ムック
録音: 1927年&1928年
(41:29/68:39)
今夜はワーグナーの「パルジファル」です。
ワーグナーがこの曲を完成させたのは1882年1月13日、初演はその夏にバイロイトで執り行われました。翌1883年2月13日にワーグナーはヴェネツィアで客死していますので、「パルジファル」はまさにワーグナー最後の舞台作品です。
ワーグナーは世を去る直前まで「タンホイザー」の改定に意欲をもっていたようですが、ワーグナーのような規模の大きい作品を主として取り組んでいた作曲家に未完の作が無いことには驚かされます。構想がまとまっていたものにかんしては、すべて完成させることができたのは、ワーグナーにとっても後世の人々にとっても幸運なことでした。
今夜聞いた録音はベルリンとバイロイトで収録された抜粋です。第1幕前奏曲と第3幕の抜粋がベルリン国立歌劇場、第1幕抜粋と第2幕抜粋がバイロイト祝祭で収録されています。指揮は、カール・ムック。「パルジファル」は一時期、バイロイト門外不出の作品となっていましたが、当時この曲の指揮を委ねられていた指揮者の一人がムックです。
今から80年以上も前に収録されたとは思えないほど音は鮮明です。戦後に放送音源をもとに復刻された多くのバイロイトでの録音のように音がこもることがありません。歌手とオーケストラのバランスにも優れています。
そして、なによりこの気高い演奏に感銘を受けます。大袈裟な身ぶりがなく、目がつんだ歌唱とオーケストラは決して大時代的なものではありません。ムックの演奏は、「この時代、あの時代ではなく、すべての時代の『パルジファル』」と絶賛されていたようですが、その"証拠"がここにあると思えます。
抜粋ながら110分も収録されていますが、その1時間以上は第3幕に割かれています。そして、この2枚組のCDセットの最後には、ワーグナーとコジマの息子ジークフリートがバイロイト祝祭を指揮した「聖金曜日の奇蹟」も併録されています。
ワーグナー(1813-1883)
「ニーベルングの指環」より
楽劇「ワルキューレ」第1幕第3場
ジークムント: ラウリッツ・メルヒオール
ジークリンデ: ヘレン・トローベル
NBC交響楽団
指揮: アルトゥール・トスカニーニ
録音: 1941年
(26:25)
今夜はワーグナーの「ワルキューレ」です。
「ニーベルングの指環」にあって最も親しみやすい作品は「ワルキューレ」でしょう。その第1幕は劇的なものと浪漫的なものといった"オペラの華"が盛りだくさんです。
また、登場人物が3人ということもあって、ワーグナーによる舞台作品では最も単独で演奏される機会が多いと思います。全曲からの抜粋ということではなく、これだけで録音されたものもいくつかありますね。
今夜はその第1幕から最終場をラジオ放送用ライブとして収録されたトスカニーニの録音を聞きました。最終場ではフンディングが登場しませんので、ジークムントとジークリンデの二重唱とオーケストラの雄弁さにひたすら酔うことになります。
往年のヘルデン・テノールであるメルヒオール、ホッホ・ドラマティッシャー・ソプラノとしてメトロポリタン歌劇場の華であったトローベル、そしてジークフリート・ワーグナーの盟友トスカニーニ、そしてその手兵NBC交響楽団ががっぷりと四つに組んだ名演は、思わず手に汗を握ってしまいます。
今夜は時間的な制約から短めのオペラを選んだつもりでしたが、この"背徳の美"と"悲劇と崩壊への突進"に心奪われ、2回も続けて聞いてしまいました。
2009/Mar
19
Thursday
00:00
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ワーグナー(1813-1883)
合唱曲集
「さまよえるオランダ人」
「タンホイザー」
「ローエングリン」
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
「神々の黄昏」
「パルジファル」
マリー: エリザベート・シェルテル
ハーゲン: ヨーゼフ・グラインドル
バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団
指揮: ヴィルヘルム・ピッツ
録音: 1958年頃
(53:30)
今夜はワーグナーの合唱曲集です。
合唱の扱いが巧みなオペラ作曲家として、ワーグナーは比類がないと思います。合唱を民衆として、その意思の善悪にかかわらず、劇中の人物、そして聴衆の意識を一定の方向に導く手腕に長けているのです。
それでも、ワーグナーの合唱曲集という録音はそれほど多くはないかもしれません。全曲盤からの抜粋ではなく、かつ、ワーグナーだけを集めた録音となると、ごく僅かかもしれません。
このような状況にあって、ヴィルヘルム・ピッツがバイロイト祝祭管弦楽団&合唱団とともに収録したこのCDは貴重なものとなるでしょう。録音年代は記されていませんが、プロダクション年は1958年となっています。
オーケストラの響はこじんまりとしていることが多いのですが、これは録音年代ゆえのことだけでなく、実際に演奏者が少ないのかもしれません。合唱も決して大人数とは聞こえません。
それでも、隅々まで行き渡った配慮に、戦後のバイロイトに君臨した合唱指揮者ピッツの辣腕ぶりを垣間見るような気がしてしまいます。
収録時間はわずか50数分にすぎませんが、存分にワーグナーの合唱曲を堪能しました。シェルテルのマリー、グラインドルのハーゲンもこの名録音に花を添えています。
2009/Mar
13
Friday
21:00
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ワーグナー(1813-1883)
楽劇「トリスタンとイゾルデ」ハイライツ
トリスタン: ヴォルフガング・ヴィントガッセン
イゾルデ: ビルギット・ニルソン
クルヴェナール: エーベルハルト・ヴェヒター
ブランゲーネ: クリスタ・ルートヴィヒ
若い水夫: ペーター・シュライアー
バイロイト祝祭管弦楽団&合唱団
合唱指揮: ヴィルヘルム・ピッツ
指揮: カール・ベーム
録音: 1966年
(76:56)
今夜はワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」です。
ワーグナー畢生の大作となれば、4つの作品から成る「ニーベルングの指環」でしょう。しかし、1つの作品と限定すれば、「トリスタンとイゾルデ」こそワーグナーの最高傑作となるのではないでしょうか。
そう思う理由は、私がこの曲が好きだから(≧∇≦)
ベーム&バイロイトによるライブ録音は熱気に溢れ、集中力と凝集力にことに秀でた名演です。ヴィントガッセン、ニルソン、ヴェヒター、ルートヴィヒ、シュライアーと歌手陣に隙はまったくありません。
このハイライツ盤は、1枚のCDで往年の名歌手達のすばらしい歌唱に浸ることができます。ストーリーを追う抜粋となっていないことが残念ですが、安価な廉価盤でこれだけ「トリスタン」を堪能できるのですから、贅沢な注文でしょう。
2009/Mar
11
Wednesday
00:00
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