プッチーニ(1858-1924)
歌劇「トスカ」ハイライツ
トスカ: キャサリーン・マルフィターノ
カヴァラドッシ: プラシド・ドミンゴ
スカルピア: ルッジェーロ・ライモンディ
ローマRAI交響楽団&合唱団
指揮: ズビン・メータ
録音: 1992年
(73:49)
今夜はプッチーニの「トスカ」です。
前回、映画のサウンド・トラックとして収録された「タンホイザー」の録音を聞きましたが、この「トスカ」は、もとは映像用として収録されています。また、私が聞いたのはハイライツですが、これには全曲盤もあるようです。
マルフィターノの題名役は灰汁が強く、そのあたりが好悪を分けるかもしれません。私はこのような路線も好きですけれども、いつも聞くには疲れてしまうかもしれません(≧∇≦)
ドミンゴの張りのある美声は、こういったイタリア歌劇では巧さが光ります。ライモンディのスカルピアもとても好きです。あまり悪役然とはしていませんけれども。
メータの指揮は冒頭こそ豪華なサウンドで圧倒しますが、その後は「テ・デウム」を含め、情感豊かでありながら流麗でさえあります。
このCDは抜粋盤とはいえ全曲の6割を超える1時間15分近くが収録されており、充分に「トスカ」を堪能することができました(^-^)
プッチーニ(1858-1924)
歌劇「ラ・ボエーム」ハイライツ
ミミ: レナータ・テバルディ
ロドルフォ: カルロ・ベルゴンツィ
ムゼッタ: ジャンナ・ダンジェロ
マルチェルロ: エットーレ・バスティアニーニ
コルリーネ: チェーザレ・シエピ
ショナール: レナート・チェーザリ
ブノア/アルチンドロ: フェルナンド・コレナ
パルビニョール: ピエロ・デ・パルマ
ローマ聖チェチーリア・アカデミー管弦楽団&合唱団
指揮: トゥリオ・セラフィン
録音: 1959年
(55:23)
今夜はプッチーニの「ラ・ボエーム」です。
いたい出費でした。今セラフィン指揮の全曲盤が手元になく、どうしてもこの名演奏を聞きたくて、ダブりを承知で抜粋盤を購入してしまいました ┐(´ー`)┌
テバルディの歌唱は、第1幕と第2幕ではいくぶん粗い感もありますが、後半2つの幕での豊かさといったらありません。ベルゴンツィ、バスティアニーニ、ダンジェロ、そしてシエピといった共演者も豪華ですね。
そして、セラフィンの指揮するオーケストラの豊潤さはまったく比類がありません。もちろん前半2幕もすばらしいのですが、第3幕での四重唱は夢見心地ですし、第4幕の幕切れなどは鳥肌ものです。
後半2つの幕にかんしては、私にとってこのオペラの無敵の演奏となっています。もう半世紀も前の録音ですが、音質も古めかしいことはありません。
なお、「ラ・ボエーム」の抜粋は1時間に満ちませんが、余白にはテバルディ、モナコ、ベルゴンツィによるアリア集が収められています。800円ほどの廉価盤で70分近く往年の名歌唱を聞くことができることは幸いです。
2009/May
15
Friday
23:30
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プッチーニ(1858-1924)
歌劇「トゥーランドット」ハイライツ
トゥーランドット: エヴァ・マルトン
皇帝アルトゥム: ヴァルデマール・クメント
ティムール: ジョン・ポール・ボガード
カラフ: ホセ・カレーラス
リュー: カティア・リッチャレッリ
ピン: ロバート・カーンズ
パン: ヘルムート・ヴィルトハーバー
ポン: ハインツ・ツェドニック
役人: クルト・リドル
ウィーン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
合唱指揮: ヘルムート・フロシャウアー
指揮: ロリン・マゼール
録音: 1983年
(72:17)
今夜はプッチーニの「トゥーランドット」です。
このオペラは作曲家最後の作品であり、プッチーニはこれを完成させることなく、喉頭癌の治療で訪れていたブリュッセルにて手術数日後に心臓発作で急逝しました。
プッチーニは第3幕のリューの自刃までスコアを仕上げていたそうですが、その後は友人のフランコ・アルファーノが補完していることは有名でしょう。
この曲はプッチーニの前衛性がはっきり分かる作品と言えると思います。それまでの「ラ・ボエーム」、「トスカ」、「蝶々夫人」などに顕著なロマンティックな要素に溢れているのですが、それ以上に、所々に顔をのぞかせる曲想の大胆さに驚かされるのです。
プッチーニとシェーンベルクは、お互い尊敬しあっていたそうですが、それが「トゥーランドット」を聞くと、よく分かるような気がします。
しかしながら、偉大な音楽作品ではあるものの、私はどうしてもこのオペラに親近感が湧いてきません。このオペラのドラマにどうしても違和感が拭えないからです。このストーリーのルーツは、「千夜一夜物語」にあるそうですが、プッチーニは原作にはない役を加えました。召使リューです。
いくら身分が違うとはいえ、リューの悲劇とカラフの盲目な恋にはついていけません…orz 大団円がしらけて聞こえてしまうのは私だけでしょうか?!
プッチーニ(1858-1924)
歌劇「蝶々夫人」ハイライツ
蝶々夫人: イン・ファン
ピンカートン: リチャード・トロクセル
スズキ: ニン・リャン
シャープレス: リチャード・カウワン
ゴロー: ジン・マ・ファン
フランス放送合唱団
パリ管弦楽団
指揮: ジェイムス・コンロン
録音: 1994年
(77:31)
今夜はプッチーニの「蝶々夫人」です。
ルイージ・イッリカが散文で草稿を記し、それをジュゼッペ・ジャコーザが韻文として台本を仕上げ、プッチーニが作曲するといったトロイカ体制による3部作の最後の作品「蝶々夫人」は、日本が舞台となりました。
「ラ・ボエーム」、「トスカ」を経て、「蝶々夫人」ではプッチーニの音楽的な表現がさらに練られていると感じられますが、それと同時に、ヒロインへの歌唱的な要求も高くなっています。
最後までほとんど休まずに出番がある喋々さんは、それを歌うソプラノにとって相当なスタミナが要求されるでしょう。しかも、気丈さだけでなく可憐さもないとこの役へのイメージが壊れてしまいます。
今夜はハイライツ盤で中国人ソプラノのイン・ファンが題名役を歌う録音を聞きましたが、力強さでは往年の名歌手に及ばないかもしれませんが、その清楚な歌声に魅了されました。「ある晴れた日に」のごく一部では、その発声に疑問もありましたけれども。
トロクセルのピンカートンをはじめ、コンロン&パリ管の洗練されたサポートも好感がもてました。
「喋々夫人」は、日本人にとってある意味で「時代劇」を観るような趣が交錯してしまうことがないでしょうか? そこがこの曲を全曲として鑑賞する難しさもあるような気がするのですが、ひたすら音楽に集中すれば、プッチーニの魔力に囚われるばかりです。
2009/Mar
29
Sunday
00:00
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プッチーニ(1858-1924)
歌劇「トスカ」全曲
トスカ: ビルギット・ニルソン
カヴァラドッシ: フランコ・コレッリ
スカルピア: D・フィッシャー・ディースカウ
アンジェロッティ: シルヴィオ・マイオニカ
堂守: アルフレード・マリオッティ
スポレッタ: ピエロ・デ・パルマ
シャルローネ: ディノ・マントヴァーニ
看守: リベロ・アルバーチェ
牧童: パトリツィオ・ヴェロネッリ
ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団&合唱団
合唱指揮: ジョルジョ・キルシュナー
指揮: ロリン・マゼール
録音: 1966年
(44:10/67:10)
今夜はプッチーニの「トスカ」です。
合唱を除き、「トスカ」の登場人物は9人ですが、女声は題名役のトスカのみです。しかし、この曲が男声で満たされているという感覚もあまりおきません。トスカに多くの見せ場があるためでしょう。
それでもなお、「トスカ」が"プリマ・ドンナ・オペラ"とも思えないのです。それは、ストーリー展開の鍵を握っているのがスカルピアだからでしょう。
題名役とカヴァラドッシの歌手の力量のバランスとそれぞれの歌唱も重要ですが、スカルピアを誰が歌っているかが気になる理由がここにあります。
ニルソンとコレッリのつり合いの取れたすばらしい歌唱もさることながら、この録音ではディースカウの悪役ぶりが聞きものです。
きわめて暴力的かつ陰惨なオペラですが、音楽的な魅力は抗し難いですし、これほど名歌手の共演に期待をしてしまうプッチーニのオペラも他にないかもしれません。
2009/Mar
15
Sunday
00:00
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プッチーニ(1858-1924)
歌劇「ラ・ボエーム」全曲
ロドルフォ: ユッシ・ビョルリンク
ミミ: ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス
マルチェロ: ロバート・メリル
ショナール: ジョン・リアドン
コルリーネ: ジョルジョ・トッツィ
ブノア/アルチンドロ: フェルナンド・コレナ
ムゼッタ: ルチーネ・アマーラ
パルピニョール: ウィリアム・ナール
税関の役人: トーマス・パウエル
巡査部長: ジョージ・デル・モンテ
コロンバス少年合唱団
合唱指揮: ハーバート・ハフマン
RCA・ヴィクター管弦楽団&合唱団
合唱指揮: トーマス・マーティン
指揮: サー・トーマス・ビーチャム
録音: 1956年
(53:58/54:06)
今夜はプッチーニの「ラ・ボエーム」です。
未完となった「トゥーランドット」を含み12のオペラを作曲したプッチーニですが、ことに人気のある作品となると第3作「マノン・レスコー」以降の10曲となるでしょう。その中でも最も抒情的なオペラこそ第4作「ラ・ボエーム」と思います。
第5作となる「トスカ」以降は、ヴェリズモの影響を受けていると感じますが、「ラ・ボエーム」はプッチーニ30代の総決算ともいえる清楚さと美しさがあると思います。
ビョルリンク、ロス・アンヘレス、メリルの歌唱も大袈裟な悲劇とせずに、細やかな心情を描いていますし、ビーチャムの指揮も品があり好サポートとなっています。
寒い日に独り静かに愉しむ曲であり、そのような演奏と思えてしまいました。この2日間で全曲を2回も聞いてしまいました。今夜は雪・・・
2009/Mar
03
Tuesday
23:00
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